眼瞼下垂は、まぶたが十分に上がらない状態を指し、視界が狭くなるだけでなく、見た目や視機能にも影響を与えることがあります。眼瞼下垂の具体的な症状、原因、診断方法、治療法について解説します。
眼瞼下垂の症状
セルフチェック方法
眼瞼下垂かどうかを自分で簡単にチェックする方法があります。鏡を見ながら、以下のポイントを確認してみてください。
- 目を大きく開いた時に、黒目の上が隠れていないか?
- 目を開ける際に、まぶたを持ち上げるように力を入れているか?
- 目を開けていると、まぶたが重く感じるか?
- おでこのシワが目立っていないか?
- 眉毛が上がっていないか?
- 目が疲れやすい、眼精疲労を感じるか?
これらの項目に当てはまる場合は、眼瞼下垂の可能性があります。ただし、セルフチェックはあくまでも目安です。
生活への影響
眼瞼下垂は、視界を狭めるだけでなく、生活にも様々な影響を与えます。例えば、以下のような影響が考えられます。
・仕事やパソコン作業に集中しにくい
・疲れているように見える
・眠そうに見られる
・年齢より老けてみられる
・疲れを感じやすい
・見た目を気にしてストレスになる
眼瞼下垂は、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。
眼瞼下垂の原因
加齢
加齢に伴い、まぶたを持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋が衰えてしまうことで、眼瞼下垂が発生することがあります。これは、加齢による筋肉の萎縮などが原因と考えられています。加齢による眼瞼下垂は、40代以降に多く見られますが、個人差が大きいのも特徴です。
皮膚弛緩
主に加齢により、まぶたの皮膚が緩んで垂れ下がってしまう状態です。まぶたの縁は下がっていることはなく、皮膚だけを持ち上げてみると、黒目がは隠れていないことがわかります。
外傷や手術
外傷や眼の手術によって、眼瞼挙筋が損傷したり、まぶたの組織が癒着したりすることで、眼瞼下垂が発生することがあります。アレルギーやアトピー性皮膚炎などで眼の痒みが続いていて、よく目をこする方にも眼瞼下垂が発生することがあります。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズ(特にハードコンタクトレンズ)の長期装用者にも加齢によるものと同様な変化が起こり、眼瞼下垂の原因となります。
神経疾患・脳梗塞
まぶたを動かしている神経の麻痺が原因となることがあります。脳神経の一つである動眼神経の麻痺や交感神経の麻痺では眼瞼下垂が起こります。
糖尿病や高血圧などがある方は、動脈硬化や血流障害による神経麻痺や脳梗塞が起こりやすく、眼瞼下垂の原因となることがあります。
重症筋無力症
重症筋無力症では神経と筋肉の信号伝達が障害され、まぶたを挙げる筋肉の収縮が悪くなることで眼瞼下垂が起こることがあります。症状は朝方軽く、夕方から夜にかけて悪くなる特徴があります(日内変動)。
眼瞼下垂の診断方法
問診
重症筋無力症では神経と筋肉の信号伝達が障害され、まぶたを挙げる筋肉の収縮が悪くなることで眼瞼下垂が起こることがあります。症状は朝方軽く、夕方から夜にかけて悪くなる特徴があります(日内変動)。
まぶたの検査
まぶたの高さを測定したり、まぶたを持ち上げる筋肉の力を測定したりすることで、眼瞼下垂の程度を詳しく調べます。また瞳孔の中心から上のまぶたの縁までの距離はMRD(margin reflex distance)と呼ばれ、その距離によって眼瞼下垂の重症度を判定します。まぶたの動きや、目の周りの筋肉の動きを観察することで、眼瞼下垂の原因を特定することもあります。
その他の検査
視力検査をはじめ基本的な眼科検査を行います。神経麻痺の場合などは眼球の動きが障害されている場合がありますので、必要に応じて検査します。顔の写真を撮影して眼瞼下垂の状態を記録します。
眼瞼下垂の治療法
手術治療
加齢による眼瞼下垂の治療には、一般的に手術が行われます。手術によって、まぶたを持ち上げる筋肉を強化したり、まぶたの皮膚を切除したりすることで、視界を改善します。眼瞼下垂の手術には、様々な方法があり、患者さんの症状や希望に合わせて最適な方法が選択されます。
その他の治療
神経麻痺による眼瞼下垂は治すことが難しいですが、原因となっている疾患の治療をすることで眼瞼下垂状態も良くなることがあります。重症筋無力症の場合は薬物治療によって寛解状態になり、眼瞼下垂も改善されることが多いです。
まとめ
眼瞼下垂は様々な原因で起こりますが、加齢によるもの以外では神経の病気に起因するものが多く、早めに診察を受けることをお勧めします。
加齢による眼瞼下垂は日常生活の質を下げてしまうこともあります。最近では手術を受ける方が増えてきました。症状の気になる方は一度診察を受けてみてはいかがでしょうか。