結膜炎
結膜は眼球の表面にあることから外部からの細菌やウイルスまたアレルギーの原因物質が侵入しやすい場所です。
それらによって結膜に炎症が起こるのが結膜炎です。充血や目やに、痒みなどが起こります。
原因を見極めて適切な薬を使用し治療を行います。
細菌性結膜炎
ウィルス性結膜炎
乳幼児や高齢者に多い結膜炎です。
乳幼児では冬に風邪をひいた時や高齢者では体力や免疫力が低下した時などに多く見られます。
抗菌剤の点眼薬などで治療しますが、高齢者では薬剤に耐性がある菌が原因となっていることが稀にあります。
点眼薬による改善がない時には結膜を擦って細菌の培養検査を行い効果のある薬剤を調べて適切な点眼薬に変更します。
俗に”はやり目”と呼ばれるウィルス感染が原因で起こる結膜炎は伝染性が強く家庭内や学校、職場などで感染が広がってしまいます。
3つのタイプがありそれぞれ原因となるウィルスが違います。
充血や目やに、目の痛み、まぶたの腫れなどが起こります。
耳の前や首のリンパ節が腫れることがあります。
- 流行性角結膜炎はアデノウィルスが原因で感染から発症までの潜伏期間は約1週間です。黒目(角膜)にもキズや濁りが出ることがあります。
- 咽頭結膜熱はアデノウィルスが原因で、発熱・ノドの痛み・結膜炎を伴います。プール熱とも呼ばれ学童に多く夏に流行します。
- 急性出血性結膜炎はコクサッキーウィルスとエンテロウィルスが原因で起こります。潜伏期間が1〜3日と短く、充血、目の痛み、結膜下出血(白目の出血)が起こります。
病型によって症状の違いはありますが黒目(角膜)にも炎症が起きることがあり、痛みや見にくさを自覚することがあります。
ウィルス性結膜炎に特別な薬はありませんが症状を重くしないために点眼薬を使用します。
通常は1〜2週間程度で治癒に向かいますが、充血や目やにが治った後に目のかすみが残る場合があります。
これは角膜に濁りが残ってしまっている状態で、炎症を抑える点眼薬を比較的長く使用して、濁りが消退するまで治療を続けます。
ウィルス性の結膜炎は涙を採取したり、まぶたの裏を擦って検査キットで調べることで診断が確実になります。
家族や周囲の人に感染させないように、タオルや物を共有したりしないように気を付ける必要があります。
アレルギー性結膜炎
スギ・ヒノキの花粉やブタクサなどの秋の雑草の花粉、またダニ・ハウスダウトのアレルギー反応によって引き起こされる結膜炎です。
充血やかゆみのほか、鼻炎の症状も伴うこともあります。
抗アレルギー点眼薬や抗アレルギー剤の飲み薬を併用して治療を行いますが、症状が強い場合はステロイド点眼薬を使用します。
また学童期に多くみられる春季カタルと呼ばれる重症のアレルギー性結膜炎があります。
結膜に乳頭という敷石状の増殖変化が起きたり、黒目(角膜)に病変が及んだりします。
免疫抑制剤の点眼薬やステロイド剤の点眼薬や内服薬また結膜内への注射で治療を行なっていきます。
クラミジア結膜炎
クラミジアトラコマチスという菌が原因で起こる結膜炎です。クラミジア感染症はSTD(性行為感染症)の一つで男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎などの原因となりますが、女性では自覚症状に乏しいこともあり感染に気づいていないこともあります。
性器や咽頭内に感染している菌が粘液や分泌物を介して目の結膜に感染することで結膜炎を発症します。外来でもポツポツと患者さんを見かけることがあり増加している印象があります。
症状は他の結膜炎と同様に充血、目やになどが起こりますが結膜に濾胞というブツブツができます。これはウィルス性結膜炎でも同様の所見があるため発症初期の頃は鑑別が難しいことがあります。クラミジア菌は結膜を擦って検査することで診断できます。
抗菌剤の点眼薬や眼軟膏、また内服薬を使って治療を行いますが、治るまでしっかりとお薬を使い続けることが大切です。またパートナーが感染している場合はピンポン感染と言って、ふたたび互いに感染させてしまうため、両者ともにクラミジアをしっかりと治療する必要があります。