麦粒腫は”ものもらい”や”めばちこ”などと呼ばれたりする、まぶたが腫れる病気です。大人の麦粒腫では、なかなか良くならない場合に、切開手術をすることがあります。子供の場合は手術が難しく、点眼薬や抗生物質の内服薬などで様子を見ることが多くなります。最近当院を受診された6歳のお子さんの症状が強い麦粒腫に、切開排膿処置を行った例を紹介します。
麦粒腫とは?
外麦粒腫と内麦粒腫の違い
どんな子供がかかりやすいか
まぶたにはもともと細菌が存在しますが、麦粒腫はブドウ球菌などのありふれた細菌が感染することで起こります。抵抗力が低下している子供は、細菌に感染しやすいため、麦粒腫を発症しやすくなります。また、目をよく擦る子供は、まぶたに傷がつきやすく、細菌が侵入しやすいため、麦粒腫を発症しやすくなります。さらに、アレルギー体質の子供や、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を持つ子供も、麦粒腫にかかりやすい傾向があります。
子供の麦粒腫の症状
初期症状
進行した場合の症状
麦粒腫が進行すると、まぶたの腫れが大きくなり、痛みも強くなります。また、膿が溜まると、まぶたが赤く腫れ上がります。まぶたが開けづらくなって視界を遮ったり、子供の場合、痛みで元気がなくなったりします。
子供の麦粒腫の治療法
点眼薬と軟膏
内服薬
手術に関して
あまり多くはないですが、麦粒腫が重症化した場合は切開手術が必要になることもあります。膿が溜まってなかなか治らない場合は切開手術をします。膿を出すことで、痛みが短期間に良くなることがあります。切開手術は局所麻酔の注射や点眼麻酔で行われ、皮膚側の切開でも傷跡が残ることはほとんどありません。また内麦粒腫の場合では、まぶたの裏側の結膜を切開しますので表面に傷をつけることはありません。
切開を行なった女の子の例
受診までの経過
切開排膿処置
まぶたの表面の皮膚は赤く腫れ、しこりもとても大きい状態でした。まぶたの裏には黄色の膿が粘膜を透して見えています。このままの状態であると、表面の皮膚が破れてしまいそうでしたし、痛そうな様子もあったので、応急処置的に排膿だけでもできれば、治りやすくなるし症状も緩和できると考えました。
点眼麻酔をしてメスで使用するとても鋭利な刃先を使って切開しました。粘膜表面の直下まで膿がきていましたので、浅い切開で十分ですし、おそらく切開時の痛みはわずかだと思います。
ベッドに横になってもらい、下まぶたを下げて、ツンっと一瞬刃先で切開しました。実際に痛がっている様子はありませんでした。たくさんの膿が出てきたので、綿棒できれいに拭いて、しこりも縮小しました。そして点眼薬と抗生物質のドライシロップを処方しました。
切開2日後
2日後の受診で、お母様は”だいぶ良くなりました”と話されていました。たくさん溜まっていた濃は少なくなり、まぶたの腫れも改善されました。ドライシロップも飲めたそうです。
切開2週間後
そして2週間後、まぶたはやや赤みが残っていますが、しこりや膿はなくなりました。これで大丈夫そうです。
まとめ
霰粒腫・麦粒腫の治療は早く行うことが大切です。麦粒腫はお薬の使用で比較的短期間に治ることが多いですが、霰粒腫は子供の場合、手術も難しく、時間がかかってしまうこともあります。できるだけ早期にお薬を使ってきちんと管理することが大切です。当院では大人の麦粒腫・霰粒腫も多く治療していますが、お子様も手術的な治療も含めて対応可能です。お子様の麦粒腫・霰粒腫でお困りの方は是非ご相談ください。