3歳児健診の視力検査と弱視発見

3歳児健診の視力検査と弱視発見

子どもの成長過程で視力は非常に重要な役割を担っています。特に3歳児健診では、弱視の早期発見が将来の視力発達において鍵となります。3歳児健診での視力検査の重要性と弱視について詳しく解説し、その対応についてお話しします。

3歳児健診とは

健診の目的

3歳児健診は、お子様の成長と発達を総合的にチェックする重要な機会です。特に、この時期は、視力や聴力、言語発達、運動能力など、さまざまな面で大きな進歩が見られるため、早期に問題点を見つけ、適切な対応を行うことが大切です。3歳児健診では、医師や保健師が、お子様の身体的発達、精神発達、社会性、生活習慣などを詳しく調べ、必要に応じて専門機関への紹介や、保護者へのアドバイスを行います。

視力検査の重要性

3歳児健診では、視力検査が重要な項目の一つとして位置付けられています。この年齢は、視力発達の重要な時期であり、弱視などの視力異常を早期に発見することで、適切な治療やサポートを行うことができ、お子様の将来の視力を守ることにつながります。

弱視の成因

弱視とは何か

弱視とは、視力発達に問題があり、眼鏡などで矯正しても視力が十分にでない状態を指します。何だかの原因で視力の発達が阻害されることで弱視となります。

視力の発達

子供の視力は生まれてからだんだんと発達し、3歳頃までには成人と同じぐらいの視力を有するようになると言われています。視力はきちんと目を使うことができる状態、くっきりと物を見ることで発達します。しかし、何かしらの原因できちんと目を使うことができない状態があると、視力の発達が阻害され、およそ10歳ぐらいまでの発達可能な時期を過ぎてしまうと、視力の発達が不完全なまま止まってしまいます。そうなるといくら眼鏡などを掛けても十分な視力がでない目となってしまいます。

弱視の検査

視力・屈折検査

視力検査の前に目の屈折を検査します。屈折とは近視や遠視、乱視のことです。通常は測定機器を用いて計測します。子供はピントを合わせる力がとても強く、通常の機器による測定では正確な屈折が測定できないことが多くあります。その際には調節麻痺剤という一時的にピントを合わせる機能を止めてしまうような点眼薬を使用する場合があります。
次に視力の検査をします。裸眼の視力に加えて、先ほどの屈折検査で調べたデータをもとに、屈折を矯正するレンズを入れた眼鏡をかけて、矯正視力を測ります。矯正視力がきちんとでない状態は弱視となります。

眼位検査

斜視がないかを調べる検査です。正面を見ている時の目の位置を調べます。片方の目が内側に向いている内斜視、外側に向いている外斜視があります。

眼球の異常

眼科を受診した際に通常行われる、顕微鏡などを用いて眼球に異常がないかを調べる検査を行います。光が通る角膜や水晶体、また眼底に異常がないかを観察します。

弱視の種類と治療法

屈折異常による弱視

屈折異常とは近視や遠視、乱視のことですが、特に強い屈折異常があると弱視になりやすくなります。特に遠視で弱視は起こりやすくなります。遠視は近くも遠くも焦点が合わない状態です。常にものがくっきりと見えていない状態であると、視力の発達が悪くなります。
一方で、近視は遠くがぼやけて見えにくいですが、近くのものは焦点が合うため、くっきりと見えるので弱視にはなりにくくなります。ただし、強度の近視があると弱視になることがあります。
屈折異常の弱視では眼鏡による矯正を行います。眼鏡によって焦点を合わせることで、物をよりくっきりと見れる状態を作り、視力の発達を促していきます。

 

不同視による弱視

不同視とは左右の目の屈折に大きな差がある場合です。強い屈折異常がある方の目が弱視となることがあります。例えば、片目に強い遠視がある場合などは、そちらの目はくっきりと物を見ることができないために弱視になりますが、屈折の弱い方の目は視力は良好であり、日常生活には不自由を感じませんので、片目が弱視であることが発見しづらいことがあります。
不同視の場合も眼鏡による矯正が基本となります。加えて、弱視の方の目を矯正的に使用して、視力の発達を促すために、弱視でない方の目を遮蔽する時間を作ることがあります。1日の数時間をそのように過ごすことで弱視の目の視力の改善が得られます。

斜視による弱視

斜視は斜視のある目の弱視を引き起こします。斜視のある目では眼底の網膜の中心を使って物を見ないために視力の発達が阻害されます。
斜視の原因を調べて、屈折異常がある場合は眼鏡による矯正を行います。また不同視弱視と同様に良い方の目を遮蔽することもあります。斜視を手術によって矯正することもあります。

その他疾患による斜視

何だかの原因で物をくっきりと見ることができない時期が続くと視力の発達が阻害され弱視となります。先天性の白内障、角膜の混濁、眼瞼下垂、眼窩腫瘍、長期間の眼帯などさまざまな原因があります。源疾患を治療することが重要となります。その上で、眼鏡装用や良い方の目の遮蔽などを組み合わせて治療します。

まとめ

3歳児健診での視力検査は、お子様の視力発達を早期にチェックし、弱視などの視力異常を早期発見するための重要な機会です。日常生活に不自由な様子がなくても片方の目の弱視である場合があります。また、弱視の裏に病気が隠れている場合もあります。弱視は、早期に発見し適切な治療を行うことで、視力の発達を促し、お子様の将来の視力を守ることができます。
当院では視能訓練士によるお子様の検査や弱視治療にも対応しています。3歳児健診で受診をすすめられたり、お子様の視力についてご心配な方のご相談をお待ちしております。
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