霰粒腫は瞼の中にできる腫瘤で、日常の診療でもとても多く遭遇する目の病気です。最初は小さなしこりであったものが、だんだんと大きくなって、赤く腫れてきてしまった。薬局で購入した抗菌めぐすりをつけてみたが、なかなか治らなかったなどの経験をしている方も多いのではないでしょうか。霰粒腫は自然に治ることもありますが、大きくなったり、治癒に時間がかかっている場合は切開手術が必要な場合があります。最近、当院では霰粒腫の切開を希望される方が多く来院されます。今回は霰粒腫の切開手術にかかる費用や、治療の流れについて詳しく説明します。
霰粒腫とは
霰粒腫の基本的な情報
霰粒腫と麦粒腫の違い
軽度の霰粒腫は、点眼薬や軟膏で治療することが可能です。点眼薬や軟膏には、炎症を抑えたり、腫れを鎮めたりする効果があります。また、温罨法(おんあんぽう)と呼ばれる、温めたタオルを患部に当てる方法も効果的です。温めることでマイボーム腺の詰まりが改善して、霰粒腫が縮小することがあります。
霰粒腫は、通常、痛みを伴いませんが、麦粒腫は、痛みや赤み、腫れを伴うことが多いです。ただし、霰粒腫も細菌感染などで炎症を起こすと痛みや赤みを伴います。炎症が起こっている場合は両者とも点眼薬や眼軟膏で治療します。
症状が現れるまで
霰粒腫の切開手術の方法
切開手術の必要性
切開のアプローチ
切開手術の流れ
1. 皮膚の消毒
眼の周りの消毒の後、顔に布をかけて、眼以外の部分を覆います
2. 麻酔
極細針でまぶたの裏側と皮膚側に麻酔薬を注射します。麻酔薬はpHを調整して痛みを軽減しています。
3. 切開・肉芽腫の摘出
出血を抑えて手術操作が容易にできるように器械でまぶたを挟み、切開をします。瞼板内の肉芽腫を取り残しの無いように摘出します。
4. 止血の確認
出血が続いてないか確認します。皮膚切開の場合は縫合します。
5. 眼帯・終了
眼軟膏を切開部位に塗布して、ガーゼをあてて眼帯をします。
切開創の状態
手術終了時の切開創の様子の写真です。肉芽腫を摘出した後なので、傷口の奥にある瞼板にぽっかりと穴があいているように見えます。ナイロン糸で皮膚を縫合した写真では、まぶたを挟んでいた器械のあとが赤く見えますが、これは時間とともにすぐに消失します。
切開後の指示・注意
手術後、強い痛みが出ることは稀ですが、痛み止めの飲み薬を処方します。眼帯・ガーゼは就寝前に外していただいても大丈夫です。多少のゴロゴロ感やまぶたの腫れ、皮下の内出血などがあります。日が経つにつれ改善されますので心配ありません。翌朝からの洗顔・洗髪は可能です。処方した点眼薬、軟膏、飲み薬を指示通り使用してください。切開手術後の2〜3日間は激しい運動や過度な飲酒は避けた方が無難です。通常は1週間後ぐらいに受診していただき経過をみます。
霰粒腫切開手術の費用
診察・検査を含めた概算費用
霰粒腫の切開手術は健康保険の適用です。保険3割負担の方で4,000円〜5,000円程度、保険2割負担の方で2,500円〜3,000円程度、保険1割負担の方で1,200円〜1,500円程度です。その他必要な検査内容によって費用は変わります。