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  • 霰粒腫の切開手術と費用の詳細ガイド
  • 霰粒腫の切開手術と費用の詳細ガイド

    霰粒腫は瞼の中にできる腫瘤で、日常の診療でもとても多く遭遇する目の病気です。最初は小さなしこりであったものが、だんだんと大きくなって、赤く腫れてきてしまった。薬局で購入した抗菌めぐすりをつけてみたが、なかなか治らなかったなどの経験をしている方も多いのではないでしょうか。霰粒腫は自然に治ることもありますが、大きくなったり、治癒に時間がかかっている場合は切開手術が必要な場合があります。最近、当院では霰粒腫の切開を希望される方が多く来院されます。今回は霰粒腫の切開手術にかかる費用や、治療の流れについて詳しく説明します。

    霰粒腫とは

    霰粒腫の基本的な情報

    霰粒腫とは、まぶたの脂腺が詰まってできる腫瘤のことです。一般的には、まぶたの皮脂腺(マイボーム腺)が詰まって肉芽腫という腫瘤ができます。自然治癒することもありますが、大きくなったり、炎症が強くなったりした場合には、切開手術が必要となることもあります。霰粒腫は、年齢や性別を問わず誰でも発症する可能性があります。

     

    霰粒腫と麦粒腫の違い

    霰粒腫と麦粒腫は、どちらもまぶたにできる腫瘤で、見た目が似ているため、混同されがちです。しかし、両者は原因や治療法が異なります。霰粒腫は、まぶたの皮脂腺が詰まってできる腫瘤であるのに対し、麦粒腫は、まぶたの毛根や脂腺に細菌が感染してできる腫瘤です。
    軽度の霰粒腫は、点眼薬や軟膏で治療することが可能です。点眼薬や軟膏には、炎症を抑えたり、腫れを鎮めたりする効果があります。また、温罨法(おんあんぽう)と呼ばれる、温めたタオルを患部に当てる方法も効果的です。温めることでマイボーム腺の詰まりが改善して、霰粒腫が縮小することがあります。
    霰粒腫は、通常、痛みを伴いませんが、麦粒腫は、痛みや赤み、腫れを伴うことが多いです。ただし、霰粒腫も細菌感染などで炎症を起こすと痛みや赤みを伴います。炎症が起こっている場合は両者とも点眼薬や眼軟膏で治療します。

     

     

    症状が現れるまで

    霰粒腫は、初期には痛みや赤みなどの症状がなく、まぶたに小さなしこりができる程度です。しかし、時間が経つにつれてしこりが大きくなり、違和感が強くなり、視界を遮ったり、まぶたの動きを妨げたりすることもあります。霰粒腫は、放置しても自然に治癒することもありますが、大きくなったり、皮膚側に広がってきたり、炎症が強くなったりした場合には、切開手術が必要になります。症状が現れたら早期にしっかりとした薬で治療を開始することが重要です。

     

    霰粒腫の切開手術の方法

    切開手術の必要性

    重度の霰粒腫では、点眼薬や軟膏などの治療では効果が期待できないため、切開手術が必要となります。切開手術は、霰粒腫を切開して、瞼板の中にできた肉芽腫を取り除く手術です。切開手術を行うことで、霰粒腫を完全に治癒させる可能性があります。切開手術が必要かどうかは、霰粒腫の大きさや炎症の程度、症状が始まってからの期間、患者さんの希望などを考慮して手術の必要性を判断します。

    切開のアプローチ

    霰粒腫の切開はまぶたの裏側からアプローチする場合とまぶたの皮膚側からアプローチする場合があります。基本的には、霰粒腫の性状によってアプローチの方法を決めますが、皮膚側に炎症が波及している場合やすでに破れてしまっている場合などは皮膚側から切開することが増えます。裏側からは薄い眼瞼結膜を通して瞼板にすぐに到達できます。縦切開を行い、瞼板内の肉芽腫を摘出します。粘膜は自然に閉鎖しますので、縫合することはありません。皮膚側からは横切開を行い、炎症が及んでいる組織を切除して、瞼板内の肉芽腫を摘出します。皮膚は細いナイロン糸で縫合した方が傷跡はきれいになります。およそ1週間後に抜糸します。

    切開手術の流れ

    1. 皮膚の消毒

    眼の周りの消毒の後、顔に布をかけて、眼以外の部分を覆います

    2. 麻酔

    極細針でまぶたの裏側と皮膚側に麻酔薬を注射します。麻酔薬はpHを調整して痛みを軽減しています。

    3. 切開・肉芽腫の摘出

    出血を抑えて手術操作が容易にできるように器械でまぶたを挟み、切開をします。瞼板内の肉芽腫を取り残しの無いように摘出します。

    4. 止血の確認

    出血が続いてないか確認します。皮膚切開の場合は縫合します。

    5. 眼帯・終了

    眼軟膏を切開部位に塗布して、ガーゼをあてて眼帯をします。

    切開創の状態

    手術終了時の切開創の様子の写真です。肉芽腫を摘出した後なので、傷口の奥にある瞼板にぽっかりと穴があいているように見えます。ナイロン糸で皮膚を縫合した写真では、まぶたを挟んでいた器械のあとが赤く見えますが、これは時間とともにすぐに消失します。

    下まぶたの裏側からの霰粒腫切開
    下まぶた 裏側切開
    上まぶた裏側からの霰粒腫切開
    上まぶた 裏側切開
    上まぶた皮膚側からの霰粒腫切開
    上まぶた 皮膚切開
    皮膚縫合した霰粒腫切開
    皮膚縫合

    切開後の指示・注意

    手術後、強い痛みが出ることは稀ですが、痛み止めの飲み薬を処方します。眼帯・ガーゼは就寝前に外していただいても大丈夫です。多少のゴロゴロ感やまぶたの腫れ、皮下の内出血などがあります。日が経つにつれ改善されますので心配ありません。翌朝からの洗顔・洗髪は可能です。処方した点眼薬、軟膏、飲み薬を指示通り使用してください。切開手術後の2〜3日間は激しい運動や過度な飲酒は避けた方が無難です。通常は1週間後ぐらいに受診していただき経過をみます。

    霰粒腫切開手術の費用

    診察・検査を含めた概算費用

    霰粒腫の切開手術は健康保険の適用です。保険3割負担の方で4,000円〜5,000円程度、保険2割負担の方で2,500円〜3,000円程度、保険1割負担の方で1,200円〜1,500円程度です。その他必要な検査内容によって費用は変わります。

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