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    瞼のできものとその治療

    まぶたにできものができると見た目が気になったり、悪性のできものではないかと不安になったりします。薬で治るものもありますが多くは手術で切除することで治ります。
    今回は長い間気になっていたまぶたのできものを切除した患者さんの例の紹介も含めて、まぶたのできものについてお話しします。

    まぶたのできものの種類とその特徴

    良性のまぶたのできもの

    まぶたのできもので日常よく見られるものには、霰粒腫があります。霰粒腫はまぶたのマイボーム腺という脂の分泌腺が詰まって肉芽腫というしこりができることで起こります。まぶたの中のできものとして患者さんは気付きます。しばしば炎症をおこして腫れて痛みがでることもありますが、長期間しこりとして続く場合もあります。そのほかに、まぶたの毛穴や汗腺、脂腺の細菌感染による麦粒腫もあります。赤く腫れたり、一部膿をもった箇所が黄色く見えたりします。
    一方、まぶたの腫瘤として気が付くものには母斑や乳頭腫、脂漏性角化症などがあります。まぶたの縁や内側にイボのようなできものができます。茶色〜黒ぽい色をしていたり、表面がカリフラワーのような外観であったりします。

    悪性のまぶたのできもの

    悪性の瞼のできものには、基底細胞癌、扁平上皮癌、脂腺癌などがあります。基底細胞癌、扁平上皮癌は、皮膚がんの一種で、まぶたにできることが多いです。脂腺癌は、まぶたの脂腺にできるがんの一種です。霰粒腫と同じような場所にできるので、摘出したあとも何度も繰り返す霰粒腫として扱われ、診断が遅れることがあります。 まぶたの悪性腫瘍は年齢が高いほうが発生頻度があがります。また外観的に腫瘤の表面にびらん(皮膚の欠損)や潰瘍が見られる場合や出血を起こしやすいことは悪性所見の可能性があります。悪性のまぶたのできものは、早期発見と治療が重要です。放置するとがんが進行し、視力障害や命に関わることもあります。

    まぶたのできものの治療法

    薬物による治療法

    霰粒腫や麦粒腫であれば点眼薬や内服薬で感染や炎症を抑える治療を行います。霰粒腫は肉芽腫を取り除く切開手術を行うことがあります。麦粒腫でも切開排膿処置を行うことで治癒を早めることができます。

    手術による治療

    腫瘤となっているできものではほとんどの場合、手術で切除することが必要です。腫瘤の大きさや部位によっては単純に切除することだけではなく、傷口を縫合したり、欠損した皮膚を補う処置が必要になります。手術は局所麻酔で行われます。

    切除後のケア

    通常の場合、切除した後は感染を予防し、炎症を抑える治療を行います。洗顔は翌日から可能であることが多いですが、塗り薬をしっかり塗布して傷の回復を待ちます。縫合を行なった場合は約1週間後に抜糸を行い、その後も点眼薬や軟膏を続けてしっかりと傷を回復させます。

    当院での治療例

    下まぶたの腫瘤

    数年前から下まぶたの腫瘤に気づいていた患者様です。数件の眼科医院で診察を受けたようですが、切除はできないと言われたそうです。当院でまぶたの腫瘤を切除した他の患者様に紹介されて当院を受診されました。
    右眼の下まぶたのやや内側よりに長径3-4mm程度の腫瘤がありました。表面はやや凹凸がありますがほぼスムースな感じで皮膚の欠損もありません。茶色の色素がまだらにあります。年齢も高齢ではありませんし、外観的にも悪性の所見はありません。

    腫瘤(切除前)
    腫瘤と涙点

    切除方法

    腫瘤のすぐ隣に涙点があります。涙点は涙が鼻腔へと流れていく入り口になります。手術の影響で涙点が閉塞することがないようする必要があります。
    腫瘤の周囲に極細針で局所麻酔を行います。麻酔薬にpH調整のために薬剤を追加して酸性に傾けることで、注射時の痛みを軽減しています。
    当院ではRFナイフという高周波メスを使用しています。針のように細い先端を使用できる電気メスです。凝固しながら切開をすることができ、出力を調整することでできるだけ出血を少なく、組織のダメージも減らしながら精密な切除が可能です。今回のような小さな腫瘤や周囲の組織に余計なダメージを与えたくない時にも大変有用です。

    術後経過

    術後1週間
    術後(涙点)

    切除後1週間の写真です。内出血も無く、顕微鏡で観察すると表面の凹凸がややありますが、表皮の再生も進んできています。患者様にも喜んでいただきました。

    病理検査

    切除した組織を念の為に病理検査に提出して母斑の診断となりました。悪性ではないことが確認できたので安心です。良性腫瘍でも再発することはありますので、変化があった際には受診していただくように説明しました。

    まぶたやまぶたの周りのことでお悩みの方へ

    当院ではまぶたやまぶたの周りのお悩みのご相談をお受けいたします。まぶたのできものや腫れ、また厚ぼったい上まぶたや下まぶたのふくらみなど、外科的治療に対応いたしますので、是非ご相談お待ちしております。

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