埋没法後のゴロゴロ・異物感・痛みの症例

先日、埋没法後の目のゴロゴロや異物感、痛みの原因や治療法についてお話ししました。今回は施術後、比較的早期にトラブルが起きている症例を紹介します。白目(結膜)や黒目(角膜)にキズができると、とても強い症状がでることがあります。診察所見や対応についてお話しします。

診察

症状

患者さんはおよそ1ヶ月前に埋没法による重瞼術(二重まぶた手術)を受けたそうです。3日前から充血、ゴロゴロ、痛みがあるということで受診されました。症状が強く、目をなかなか開けられない様子でした。

眼の表面の観察

患者さんの目を初めて見た時に白目(結膜)の充血、まぶたがやや腫れている状態でした。顕微鏡で観察すると、眼球の上の方、ちょうど上のまぶたに接する部分の結膜に充血と浮腫(むくみ)がありました。そして隣接する角膜にも擦過傷のような縦のキズがたくさんついていました。角膜をフルオレセインという色素で染色するとキズがある部分は染まって黄色く見えます。明らかにまぶたの裏にある何かが結膜と角膜にあたって、キズを作っていると考えられる所見です。

上方結膜の充血と浮腫
染色した角膜

まぶたの裏の観察

まぶたをひっくり返してまぶたの裏を観察しました。瞼板と表面の眼瞼結膜が赤く腫れています。目立つくぼみが二箇所あります。この患者さんは瞼板法の埋没法を受けたと思われます。

翻転したまぶた
反対側のまぶた

左右で比べると、症状がある眼のほうが、腫れと充血が強く見えます。明らかに糸が切れて露出している様子などは無さそうでした。難しいのは、診察のためにまぶたを翻転している時と通常時の翻転していないまぶたの状態では、まぶたの裏の糸の状態も違うということです。要するに、翻転して観察しているときは露出していなくても、通常時では露出していて、眼の表面に接触している可能性があるということです。

処置と対応

点眼薬の処方

まぶたの裏の粘膜、眼瞼結膜の充血と腫れが強く、表面では結膜と角膜にキズがあったので、抗菌と抗炎症の点眼薬を処方しました。また早めに施術していただいたドクターの診察を受ける予定にしました。

処置と再手術

ゴロゴロや痛みといった患者さんの症状は、結膜と角膜のキズが治らなければ改善しません。糸の露出があれば、いったん糸を除去して、再手術という流れになるのではないでしょうか。
施術後、数十年とか長い期間が経っているものであれば、糸を除去しても、まぶたの形に大きな変化が現れる可能性は低いので、その場で除去してしまう選択肢もあります。

症状でお困りの患者さんへ

当院では埋没法後の症状が心配な方やお困りの方の診察をお受けします。顕微鏡で観察した目の表面の状態を画像で記録することが可能です。また画像を患者さんへ提供することも可能です。施術を受けたドクターを受診する際に、現状を知っていただく意味でも画像は大変有用だと思います。ご相談をお待ちしております。

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