甲状腺眼症に対する放射線治療(リニアック治療)
放射線治療(リニアック治療)とは
炎症を起こしている組織には白血球が集まってきますが、その白血球を壊す作用で炎症を抑えていきます。放射線治療は体への負担が少なく、ステロイドパルス療法と併用して行ったり、ステロイドの全身投与が難しい場合などでは第一選択とされる場合もあります。治療はリニアック装置がある施設の放射線科に紹介する形で行います。
放射線治療はステロイドの全身投与が躊躇される方にも適応となります。ステロイドの局所注射と放射線治療を組み合わせることで、活動期の炎症をコントロールして乗り切れる可能性があります。
放射線治療(リニアック治療)の方法
通常は2Gy グレイ(放射線の量)を連日10回照射して計20Gy の照射を行います。
当院でご紹介できる施設の放射線科では、週に1〜2回の通院で長めに時間をかけながら治療を行い、良好な反応を得られています。連日の通院は難しい患者様でも受けることができます。
治療中の痛みなどは無く、初回はフェイスマスクの作成に多少の時間を要しますが、2回目以降の治療自体は数分で終わります。
放射線治療(リニアック治療)の副作用
放射線には細胞を障害する作用があります。その作用をうまく利用することで治療に使用します。眼球の網膜は放射線に弱い組織なので、網膜に照射されないようにおこないます。甲状腺眼症の治療に使用する場合は主に眼球後方の眼窩に照射して、外眼筋やその周囲の組織の炎症を抑えます。眼球後方には視神経という脳から眼球へつながる脳神経がありますが、比較的放射線には強い組織なので照射には問題ありません。
放射線というと発がんのリスクが懸念されますが、治療に使用される放射線量は少ないため、発癌のリスクなどもかなり低いものと推測されています。治療中の大きな副作用はありませんが、一時的に眼の腫れが強くなることがあります。通常は時間経過とともに自然に改善します。