甲状腺眼症のステロイド局所治療
ステロイド局所治療について
限局している炎症に対して、あるいはステロイドの全身投与と併用してステロイド剤の局所注射がおこなわれます。またステロイド剤の全身投与後に治療の補完を目的としておこなうことがあります。
対象となる部位は眼瞼、特に上眼瞼挙筋の炎症や外眼筋に対してターゲットを絞っておこなう場合、また眼窩内(筋円錐内)に注射して炎症を抑える目的でおこなわれます。
使用するステロイド剤
トリアムシノロンアセトニド
この薬剤は徐放性ステロイド剤です。徐放性とは徐々に放出されるという意味です。一定の期間、炎症を抑える効果が持続することで高い治療効果を発揮します。
ベタメタゾン
作用時間は短いですが、強力な抗炎症作用を持つステロイド剤です。
まぶたの注射・結膜下注射
上眼瞼挙筋の炎症に対しておこなわれることが多い注射です。
ステロイド剤は徐放性のトリアムシノロンアセトニドを使用します。
まぶたの注射は注射部位をアイスノンで冷やした後、細い注射針で皮膚面から上眼瞼挙筋の近傍へ注射します。
結膜下注射は上眼瞼を翻転してまぶたの裏側から結膜を小さく切開し、上眼瞼挙筋近傍へ先の尖っていない注射針を用いて注射します。抗菌剤の点眼薬を数日間つけて切開創からの感染を予防します。
テノン嚢下注射
外眼筋の消炎を目的に主に一つの外眼筋の炎症が中心の場合にその筋肉をターゲットにして注射します。ステロイド剤は徐放性のトリアムシノロンアセトニドを使用します。
点眼麻酔の後、白目(結膜)を小さく切開して目標とする外眼筋の近くにステロイドを注射します。ステロイド剤は徐放性のトリアムシノロンアセトニドを使用します。所要時間は数分で痛みもほぼありません。抗菌剤の点眼薬を数日間つけて切開創からの感染を予防します。
球後注射
眼窩内(筋円錐内)にステロイドを注射します。作用時間の短いベタメタゾンを使用することで眼圧の上昇や白内障の発生などの合併症のリスクを抑えながら眼窩内の炎症をコントロールできます。
下まぶたの外側をアイスノンで冷やした後、球後針を使って注射します。
痛みはゼロではありませんが手技を上手にすることで最小限にできます。